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日本の高等学校における教科“情報”について

千葉県立船橋豊富高等学校 
教諭
谷川佳隆氏



 私は2003年から、千葉県にある全日制普通科の船橋豊富高等学校で情報と数学を教えています。同校は情報教育に早くから力を入れており、1993年に情報コースを設置していました。2003年から高等学校の教育課程に、教科「情報」が設置されるようになったことを受け、私も同年から船橋豊富高等学校で情報について指導しています。

 新設された教科「情報」には、普通教科と専門教科の2つがあります。普通教科は「情報A」「情報B」「情報C」で構成され、専門教科には11科目のカリキュラムが導入されています。普通教科の情報A、情報B、情報Cはそれぞれ内容が異なりますが、厳密に棲み分けされているわけではありません。なかには、中学校で教える内容とかぶっているものもあります。一方の専門教科は、おおむね「基本的科目」「応用選択科目」「総合的科目」の3つで構成されています。とはいえ、実際に専門教科を教えている高等学校は少なく、実施しているのは情報科や普通総合科を設置している高等学校に限られているというのが実情だと思います。

 私が、4年ほど、教科「情報」を指導して感じているのは、具体的な到達目標が明示されていないことです。文部科学省が作成した高等学校向けの「学習指導要領」には、教科「情報」における教育目標として、『情報および情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して、情報に関する科学的な見解や考え方を養うとともに、社会のなかで情報および情報技術が果たしている役割や影響を理解させ、情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる』と記されていますが、例えば、「態度を育てる」といっても何を育てるのかは不明瞭で、このように目標を把握しにくい点があるように思います。
 また、教育現場の現状として、きちんとした指導・サポート体制を整えて情報教育を実施している高等学校は少なく、各教員の裁量に任せきりになってしまっているケースも少なくありません。専門の教員が少ないだけでなく、教員の情報研修も基本的には本人任せです。教科「情報」を担当する際に必要な免許状も、15日間というごく短期間の研修で簡単に取得できましたし、その後の追加研修もとくにありません。そのため教員に専門的な知識が備わっておらず、単位数も少ないため、実態として浅い指導しかできていない状況にあります。もちろん、なかには専門的な知識やスキルをもって指導にあたっている教員もいますが、教員間のスキルのレベルに大きな差があります。「情報」というのは、分野が非常に幅広く、また教員の得意分野もそれぞれ異なり、「指導内容が確定していない」ことが現在の情報教育の方向性が定まらない一つの要因になっているのかもしれません。さらには、実社会では、ITに関する知識やスキルの必要性・重要性が年々高まっているのに、大半の高等学校は情報の単位数を増やしておらず、2単位が一般的です。

 こうした現状を踏まえ、情報教育のあり方や理想的な形態について私見を述べたいと思います。基本的には、「積み上げ式」がベストではないかと考えています。まず、小学校や中学校の義務教育でITやコンピュータに関する基本的なリテラシーやモラルを教え、それを受けて高等学校で科学的なところやITを駆使したプレゼンテーションの方法、セキュリティなどについて指導する。そして、高等学校までにエンドユーザーの育成をしっかり行い、その他、情報専門学校や情報総合科および情報コースを設けている高等学校では、より専門的なプログラミングとかデータベース、情報デザインについて教えていくといったように。さらに大学でも、前述したプログラミングやデータベース、情報デザインのスキル・知識を身につけられるようなカリキュラムを推進する必要もあると思います。
 このように、ITの知識やスキルを段階的に積み上げていくことで、社会に出てから即戦力として専門分野で活躍できる人材育成に通じていくのではないかと思います。教科「情報」は、現在および未来の高度高速情報化社会を支えていく人材を育成するための基本になるはずです。現状は、解決すべき多くの問題がありますが、教科「情報」の必要性を社会全体で認識をし、教科「情報」の指導内容をきちんと確立することからはじめていくことが重要ではないかと考えています。